上海に居ながら日本を考える

上海にやたら長く住む日本人が中国と日本を比較しながら様々なことに思いを馳せるよ

上海と比べた東京

一週間ほど東京に出張してきました。

驚いたのは新宿の紀伊国屋前に周大福が店を開いていたこと。台湾や大陸では有名な貴金属店ですが、日本人はここで買うことは無いだろうと一瞬思いましたが、新宿に観光に来る中国人を量を考えるとそれはそれでアリなのかなという気もしてきました。

 

しかし東京に来るといつも思うのは本当によく歩くようになります。上海だとIoTのMobikeもあるし、そもそも駅の近くにしかあまり用事が無いのであまり歩きません。またタクシーもここ数年高くなったとはいえ初乗り270円相当なので日本よりだいぶ安いです。日本のタクシーも初乗りが410円とかで驚きましたが乗った後に急激に金額が上昇するのでやっぱり高いですね。

まあ歩くのは健康に良いので良いとして、やはり現金決済の多さに疲れます。色んなブログやサイトにもある通り、上海や北京はほぼ全てスマホでのオンライン決済で生活可能です。現金を使う機会は基本的にありません。なので東京で普通に過ごすだけでポケットに小銭が山のように溜まっていくのはやっぱりかなり不便さを感じました。

おそらく決済プラットフォームが乱立するせいでなかなか普及しにくいのだと思いますが、国家的に遅れているということを踏まえて連合を組むなりして統一化を図って欲しいですね。

ちなみに中国だとアリババの支付宝とテンセントの微信の2通りであり、普通は両方使う感じです。

 

東京も頻繁に行くと帰国した感動も無く面倒さだけが際立ちます。昔は一年ぶりに帰国とかだったので日本に居ること自体が感動だったのですがそういうのも無くなりました。街はきれいだし何でも安いからありがたいのですが、観光客にとってのバリューは薄れたようにも感じます。やはり観光だと地方をお薦めした方が良さそうです。

総合的な印象としては街として古びてきてこじんまりしてきた感じです。ただまあこれは決して悪いことでは無く、東京ブランドが変化してきているところもあるのでしょう。かつての流行の発信地であり、金とエネルギーが渦巻く都市という立場は新興国に譲ることになったとしても、清潔で治安も比較的安定しており物価も安いという都市は他にあまり例が無いように思えます。

他の成熟した都市はとにかく物価が高いですからね。

 

そんな取り留めのない事を考えつつ、また上海で頑張ります。今年は中国内の地方出張が多くなりそうで、中国の地方都市をお知らせできることを楽しみにしています。

 

就職活動をするにあたって知っておくべきこと

日本の新卒採用、最近はどうなんでしょうか?久しく見ていないので何とも言えないのですが、新卒採用コンサルとか、新卒を紹介する人材紹介とかもあるくらいなのでやはり大きなマーケットではあるのでしょう。

 

さて、大卒の学生が就職活動をするにあたって最も重要なのは企業研究だと思うのですが、これまでそんなの知ったこっちゃない大学生活をしていた皆さんにとって急に四季報とか見てもわけがわかりませんよね。あー大手いきてーくらいの人が大半なのでは無いでしょうか。

 

全体的な話は色々な情報があると思うので置いておいて、今回は一つの指標について書いてみます。それは「海外売上高・海外売上比率」です。

日本の人口が減って国内市場が縮小していくことは最早避けられません。移民による市場拡大がそれを補うようになるかというとちょっとまだ難しそうです。

 

そのため、一定以上の規模の企業は軒並み海外での売上をいかに上げていくかに血道を上げている状況です。そして、その多くは現状海外事業については赤字まみれだということも知っておかねばなりません。

また海外売上についてはある程度の規模にならないと連結対象にならないので、見た目には海外展開は無さそうに見える会社もありますね。

そして、現時点で海外でガンガン成功している会社はもちろん素晴らしいのですが、今後成功する可能性が高い会社もたくさんありますので是非色々目を向けて欲しいと思います。

 

「海外で働きたい」と言う場合どうしても語学が・・・というように思われがちですが、もちろん語学はあるととても良いのですが実際は語学よりも重要な事は山ほどあります。逆に語学ができるから海外で働きたいという方が危険だったりします。

語学ができなくても堂々と海外に挑戦したいと主張してかまいません。語学できるのと聞かれたらこれから勉強しますと答えれば良いと思います。むしろ、語学以外に海外に挑戦しなければならない理由を自分の中ではっきり理屈を作っておけば良いと思います。会社としては海外で成功しないと生き残れないわけですから、海外に挑戦したい人は基本的に他よりちょっと気にかけて見ると思います。

 

話を戻して、じゃあ海外売上高や比率をどう判断すれば良いかですが、まずは比率ですね。と言ってもこの比率ならこの企業はこういう状態だというようなものはありません。ひとまず四季報のコメントや、IR情報の決算報告を読みましょう。まず100%海外戦略についての方針や状況が書いてあります。そこで、現在の海外売上高をどう捉えているか、今後どのように伸ばしていくのかをどこまで具体的に書けているかをしっかり読み込むと良いと思います。

無論決算報告については株主向けに前向きな事しか書いてないので注意してください。実際に海外売上が右肩上がりになっているか、数年停滞して止めるにやめられない状態になっていないかなどがチェックポイントです。海外法人の場合、思ったより売上伸びないと判断しても気軽に撤退ができない事も多いのです。

また、日本の技術を世界に!とか、日本のサービス品質で勝負といった内容はちょっと眉唾ものの可能性があることも知っておいてください。現在世界から見た日本は一部特定分野を除いてそこまですごいとは見なされておりません。

メディアでは日本がいかに海外からすごいと思われているかなどの情報に溢れていますが、はっきりいってかなり恥ずかしいです。

むしろ平均点は高いが特に突出しておらず、長らく景気が停滞したために逆に遅れてしまっている点も多々あるということを知っておいた方が良いです。

もし本当に海外で働きたいとか興味をもった方がいらっしゃいましたら是非気軽にご連絡いただければと思います。うちの会社でインターンも受け入れていますので。

 

いじめられている側の問題について

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               (出典不明:ネットで拾った。どっかのテレビ番組)

 

小中学生向けアンケートで、いじめられている側にも問題があるという回答が3/4を超えたそうですね。

さすが子供は素直ですね。

 

しかしこれをいじめの容認ととってしまうのは完全な理解ミスだと思います。これは、いじめられている側にも問題(原因)がある⇒だからいじめても良いという事では無いのですから。

単純にいじめのきっかけや原因が存在しているという当たり前の話です。おそらくは小賢しい子が先読みしていいえと回答しただけの話で、基本的にはこれは満場一致で100%になる類の質問であり、意図的にミスリードを誘うメディア側に一番問題があると思います。

 

人間以外の哺乳類にも多くいじめと似た現象が発生するわけで、群れとして生きるために生存確率を下げる可能性が高い個体を排除する生存欲求に基づくものであったり、原因は不明だけど突然発生するものだったりしますよね。

なので、いじめ自体は生物として当然発生する取るに足らない自然現象であると言えるでしょう。しかしいじめられる側としてはたまったものではありません。

そこは万物の霊長を自認する人間が他の動物とは違うことを証明するしかありません。

しかし現状を見るにその証明は全くできておらず、人間も他の動物と大して変わらないということが確認できました。

 

例えばですが、いじめ自体を殊更特殊な状態のようにして取り上げる今のやり方に問題があるとは思えないでしょうか。むしろ発生するのは当然という見地に立ち、その前提で発生を無くしたり数を減らすにはどうしたらいいのかということを考えるべきだと思います。

 

私の住む上海には日本人学校があります。聞いた話では、日本の学校に比べるといじめの発生件数は驚くほど少ないそうです。

それはなぜでしょうか?海外だから?日本人駐在の比較的富裕層の子供が中心だから?

違います。

それは、定期的に生徒が入れ替わるからだそうです。

日本人学校の生徒の親は日本企業の駐在員が多くを占めます。そのため、突然の帰任辞令であったり、逆に突然の赴任、また予定通りの帰任などまあ6年間ずっと通い続ける子は多くは無いのです。

そのため、生徒同士でもいつ会えなくなるかわからないという感覚があり、新たな転入生と仲良くしつつ上海を去る友達への対応もあったりと結構忙しいわけです。

 

つまり、「流れる水は腐らず」です。これは非常にこの世の中の真理を表した良い言葉ですね。転石苔むさずだとちょっと意味合いが英米で異なるようなので使いません。

 

いじめを無くしたい減らしたいのであれば、定期的に生徒をシャッフルするのが最も効果的なはずです。ただしそこに住む人々にとっては学区もあったりと現実味が無いかも知れません。また、自分の子供だけ転校させまくったとしても受け入れる側のメンバーは変わってないのでこれは意味がありません。2年に一回クラス替えなどもやらないよりはマシなのですが、学校全体の構成員はそう変わってないので効果は非常に低いと言えます。

 

とすると制度的に解決するのもなかなか難しそうです。よく言われる田舎の人は陰湿だとかそういう話も、別に田舎に住んでいる人が陰湿なのではなくて狭いところに固定メンバーで構成されてしまうと人間は陰湿になってしまうんですね。

 

そうすると古い慣習で縛られた日本国内での教育はなかなか大変なことがわかります。とはいえ海外の学校に来ればいいじゃんとは気軽に言えないですからね。国内でどう解決すればいいのか。。答えは見えません。

しかしもしお子さんがいじめに悩んでいるのであれば親として海外勤務についてみるというのも選択肢の一つとして考えても良い時代なのではとも思います。

 

 

 

中国的お気楽スタイルのススメ

最近ようやく日本の過剰サービスについて議論が始まってきました。

とても良いことですね。

 

中国の雑なサービスについてはよく日本のメディアにも悪意をもって取り上げられることも多いですが、住んでいる立場としては誠に楽だったりします。

 

今は無くなりましたが昔は国営コンビニなどでは店員がレジでタバコを吸ってたりなども普通でした。

それで52元の物を買って100元札を出すと、ほぼ必ず「2元ないの?」って聞いてきます。細かなお金を出すのも面倒だしもらう方も切りが良い方が良いですよね。極めて合理的です。日本だったら何も言わずに「100元お預かりしま~す。」とか言って48元のお釣りを出すわけじゃないですか。

 

顧客に対して変に構えずに対等の立場として接するのって大事だと思います。馬鹿丁寧に接すればストレスも溜まるし、客はそれが当たり前だと思ってしまうこととなり余計なトラブルの元になってしまいますよね。はっきり言って良いことが何も無いんです。

もちろん高級ブランド店では日本に近いレベルでの接客は提供されます。これは商品の価格に購入する体験費用も含まれているからですね。これも非常に合理的です。良いサービスを受けるためにお金を払うだけの話ですから。

 

これらの事から思うのですが、日本はどう見ても格差社会です。中国ほどでは無いですが。

しかし、中国と日本の違いは、中国では所得と社会的階級の違いをそれぞれが認識しています。つまり、出稼ぎ労働者で低給与の人は自身が低給与であることをしっかり理解していてその中で人生を楽しむわけです。

一方日本は、一億総中流という言葉も過去にありましたが、格差を正しく認識できていません。人としてはもちろん平等ではあるんですが、社会的には全く平等では無いわけですよね。平等では無いのに平等だと思っているからその差に苦しむのです。

人が社会的に成功するかどうかは、はっきり言って生まれで半分くらいは決まってしまいます。比率に異論はあるでしょうがこれは貧困の連鎖の話で今更言うまでもありませんね。

だからこそ、無意味に足掻かずに今の環境で愉しめば良いのです。

 

しかしこの問題が解決するにはあと1世代くらいかかりそうですね。貧乏人でもブランド品の一つ二つくらいは買える日本ですから。

割り切ってしまえば高望みをしなくなるので良いと思います。実際、お金持ちが毎日楽しく暮らしているかっていうと全然そんなことなくて、幸せ指数はお金持ち度とは比例しないです。

例えば本当に信頼し合える友人がいるとか、夫や妻を心の底から愛しているといえるのであればその時点で大抵のお金持ちよりあなたは幸せです(笑)。

 

 

 

中国の女性たち

中国に居ると女性経営者の多さに圧倒されます。

また、優秀な方の多いこと多いこと。

 

日本は女性の社会進出面では圧倒的に後進国だと感じます。

この原因として大きいのはやはり子育て環境にあると思われます。

 

日本は高度経済成長期において核家族化が進み、結婚したらマイホームを買って自分たち+子供での世帯形成が進みました。

その結果、子育ての負担は女性側に集中します。専業主婦という言葉も生まれ、女性が家から離れられないようになりました。

 

一方中国では基本的に男女が結婚すると両親とは別の世帯となりますが、妊娠するとどちらかの親が子どもたちの家に住み込むことが一般的です。

子育て経験のある親が子育てを手伝ってくれるというのは非常に大きな助けとなり、出産前後の休暇も日本と比較すると短くて済みます。

女性にとってキャリアの障害となる出産育児が大きな障害にならないという社会環境の違いがあります。

 

一方で精神面での問題もあるように思えます。親世代が専業主婦という環境で育った子供は、潜在的に家庭は男性が支えるもの、女性はそれを支援するものという固定観念を持っています。

雇用環境もそれを助長するものとなっています。

一方中国では、妻側が夫側より給与が高いというのは全く珍しくありません。また、特に上海では男性の料理比率が非常に高く、小さな頃からパパが料理を担当していたという環境で育った子供もたくさんいます。

なのでそもそも男女の勤労についてのマインドが全く違うわけですね。

 

日本はこれからどうなるでしょうか?文化的にはもしかしたら昔の男は外で働き女は家を守るというやり方に回帰した方が良いのかも知れません。

現在は非常に中途半端な状態ですが、もしも日本の女性が本当の意味でグローバルレベルの社会進出を目指すのであれば、女性自身が変わらなければならない事も多くあります。結婚がゴールになることはありません。腰掛け就職なども無くなりますし、男を選んでいる暇があったら自身のキャリア形成に力を入れる必要も出てきます。

客観的に見ると日本の女性は社会進出を叫びながらもその責任を負う覚悟も持っている層はまだまだ殆どありません。その幼さが成熟する日が来るとはまだ思えないですね・・・