上海に居ながら日本を考える

上海にやたら長く住む日本人が中国と日本を比較しながら様々なことに思いを馳せるよ

海外駐在の長期赴任によるリスクと弊害

最近は所謂大手企業以外もどんどん海外に進出しています。

それ自体はすごく良いことであり、内需が減少する中海外に活路を求めるのは当然の動きではあると思います。

 

しかし海外で事業を行った経験が無い会社が海外で円滑に事業を行うことは極めて困難です。安定するまでに少なくない授業料を支払うことになるでしょう。

無論海外売上比率の高い大手企業も昔から様々な苦労をして販路を開いてきました。そのノウハウが会社にしかなく、国家として蓄積されていないことは日本にとっての損失だとも思います。

 

さて、表題の件ですが、海外駐在には任期の定められている場合と特に定められていない場合があり、ベンチャーや新規進出企業の場合はその多くが定められていないことが多いです。

例えば赴任期間が3年と定められている場合、せっかく現地の言葉やビジネスのノウハウをつかんできたタイミングでの交代となってしまいビジネスがまた停滞してしまうということはよく言われてきましたし、事実でもあります。

そこで最近では任期を決めずに送り出す企業が増えています。

ただ、これは一見合理的ではあるのですが見えにくい色々なリスクをはらむやり方でもあると思っています。

 

私自身非常に長期におよぶ海外駐在という立場であるのですが、客観的に考えた結論としては駐在は5年を最大として必ず交代させるべきだと思っています。

その理由は以下になります。

 

現地法人の経営ノウハウが駐在個人に蓄積されてしまい会社の資産になりにくい

・赴任歴の長い駐在による副業や汚職リスクは本社が考えているより高い

現地法人の外国人社員とのしがらみはどうしても生まれるため、責任者は適度に交替させた方が組織がリフレッシュされる

・海外に長く住むストレスは小さくない。赴任の長い駐在のパフォーマンスは低下しがちである

 

ざっと思いつくのは以上ですがまだまだありそうです。

ただし駐在社員の能力がそれなりに高い場合、後任を探すのは非常に難しいという企業側の都合もあります。特に中国は敬遠されがち(そのくせいざ来ると帰りたがらない)でもあるので、拡大したビジネスを引き継げる人材をアサインできるかどうかも企業の力量ではあります。

 

理想は、小さな会社でも駐在は2名体制にして、開拓者が2年ほど頑張った後にそれを支援するサブを投入し、2年一緒に頑張ったのち開拓者を帰任させて交替人員を送るようにできればよいと思います。開拓者が優秀であればあるほど一人きりで現地法人の経営を任せるのは長い目で見るとリスクが高いと思います。

 

そしてこれは海外経験の豊富な大手企業であれば暗黙のうちに十分理解している事柄でもあり、海外未経験企業が全くわかっていないことでもあります。

 

海外現地法人のパフォーマンスは駐在の力量如何でいくらでも変わります。是非先に述べたことを踏まえつつ、人材投下について戦略的に考えて欲しいです。