上海に居ながら日本を考える

上海にやたら長く住む日本人が中国と日本を比較しながら様々なことに思いを馳せるよ

仕事は正道を選びましょう2

パチンコ業界やソシャゲ業界に就職するのは止めた方がいいよという話を前回書きましたが、他にも仕事を選ぶ上で考えなくてはならない事があります。

 

ブラック会社という奴ですね。

 

私が新卒で入った会社(広告業界)の後輩にS君という男の子が居ました。良く言えば非常に素直で元気、悪く言えば素直過ぎて先を読む力に少し欠け、要領が良いとはお世辞にも言えないという感じ。

ただ素直なだけに着実に成長できる人材だと思っていました。

 

しかし横並びで入った新卒は、横並びに評価されてしまいます。多少目端の利くタイプは割りと先行して業績を上げやすいですね。そういう人間は褒められますので調子に乗って更に成約を上げたりして良いスパイラルになったりします。

一方正直者で要領はイマイチなS君、同期の中では2番手グループになります。

 

実際の話、新卒入社時に調子の良かった人間がそのまま成果を上げ続けられるわけではありません。私見ですが5年くらいのスパンで見た場合、正直で謙虚な人間は間違いなく台頭していきます。まあ更に本当の事を言うと要領が良くて更に謙虚で努力する人間も居ますので、そういう人間は早い段階で社内の中核となっていきます。

ただ、そこまでの素養は無くても十分やっていける社員にS君はなれた人材でした。

 

しかしS君は結局入社2年目で転職してしまいます。

飲食業界、居酒屋チェーン企業に。

かなり昔の話なので飲食がブラックなんて認識も社会にありませんでした。

 

転職後彼は朝から呼び込みの企画や書類仕事に負われ、午後は仕込み、夕方から店舗勤務、日をまたぐ頃から売上管理、明け方前に帰宅し朝から出社という一日3時間くらいしか寝られないという状態が続くことになり、結局転職した会社も1年も持たずに辞めてしまうこととなりました。

 

真っさらな新卒で素直で正直だったS君は、新卒2年目が終わるタイミングで2社を退職したという経歴になりました。

これは日本社会では相当な不利になることはよくわかると思います。

 

前回の話より更に大前提の話として、人間らしく生活できない会社に入るのは止めましょう。今は社員の自社評価なども公開されており、その辺の情報も比較的簡単に手に入るはずです。

そして社員をそのように働かせることでしか利益を上げることができない会社にはとっとと潰れてもらって業界を浄化していくのが一番です。

 

現実的にはとっくに崩壊している終身雇用制度、新卒採用のあり方も早く変わることを願っています。

 

仕事は正道を選びましょう

人間は基本的に群れで生きる生物なので、性善説とまでは言いませんが他者と助け合い調和することに幸せを感じやすいと思っています。

 

無論どんな群れにもはぐれは存在し、社会のルールに適合できない層も多くは無いですが確実に存在することも事実です。

 

自分自身が反社会性を持つと認識していないのであれば、仕事はちゃんと選ぶべきです。

正道とは、感謝の連鎖を生む仕事をこの文では指しています。

変な話をしたいわけでは無く、世の中の殆どの仕事は正道です。生産者に感謝し、顧客に感謝し、社員に感謝するという正の連鎖ですね。

 

一方正道ではない邪道の仕事。パチンコ産業であり、ガチャで問題になっているソシャゲ企業などです。パチンコについては今更語るべき内容も無いので昨今話題のソシャゲについて書いてみます。

 

ゲーム自体は優秀なクリエイターが集まり、ユーザーに楽しんでもらうために一生懸命開発したものではあります。しかしガチャというシステムだけは本当に大きな問題だと思っています。

その時楽しめたから例え何十万何百万課金しようと悔いは無いと嘯く人もいますが、やっぱり大多数の課金者はその可処分所得に応じて行った課金を後悔します。

くだらぬ時間を費やしお金まで失ったと。

ソシャゲ運営企業がなぜ悪なのか。それはやはり人間の最も弱い部分、快楽中枢を刺激して判断力を低下させる仕組みを利用しているからです。

彼らがどんなに自身を正当化しようとも、激しく後悔しているユーザーからのお金で利益を上げたという事実は変わりません。

そしてそのような負の連鎖によってあげた収益によって生かされているという立場に自身を置くことは極力止めるべきだと思います。

負の思いは企業を、社員を徐々に蝕みます。

 

どうしても精神論的な怪しげな話に見えてしまうかも知れません。しかし、人間にとって誰にも恥じない生き方をすることがどれだけ大事なのかということは、少しでも犯罪もしくはそれに近い事をした普通の人にはよく理解できることだと思います。

 

誰かを不幸にしたお金で幸せになれるほど大抵の人間は強くありません。その収益性の高さからポンポン上場したりしてしまうわけですが、真っ当な商売では無いということを認識する必要があります。

私はそのような企業に絶対に投資しません。

 

こういった新しい搾取方法はどうしても法律は後手に回ってしまいますが、どうか自分を大切にしてこういった事業に加担することのないよう強く望む次第です。

 

 

 

企業はどこで利益を出すのか

備忘録を兼ねて一つ。

 

生産性が先進国最低レベルと謳われる日本ですが、儲かっている会社はちゃんと儲かっています。

営業利益率20%以上の企業を想定しましょう。

 

財務データからではその企業が儲かっていること自体はわかりますが、一体どこが儲かっているかを知ることは困難です。

どこが儲かっているかとはどういう意味でしょうか?

 

例えば労働集約型ビジネスで考えます。

受注から納品までのプロセスを分解します。

 

PR・広告⇒営業活動⇒受注⇒打ち合わせ⇒設計⇒制作⇒提出⇒修正⇒納品⇒保守

のような感じでざっくりと考えます。

 

利益率の高い会社は、このどこかのプロセスにおいて競合他社より圧倒的に効率の良いパートが存在します。

 

恐ろしく高い営業効率だったり、自動化された設計、オペレーションが細分化され属人的でなくスピードを追求できる制作などです。

 

基本的に儲かっていない会社は全てのプロセスが他社と似たり寄ったりで、圧倒的な特長を持ちません。

そして全てのプロセスで圧倒的な会社も中々ありません。大抵はどこかのプロセスが特化して優れているのです。

 

例えばデザインを売りにするデザイン会社があったとしましょう。対外的にはデザインを売りにしていてそこが他社より優れているとします。ではこの会社の利益の源泉はデザインでしょうか?

実は往々にしてそうでは無いのです。

デザイン自体は差別化ポイントではありつつも、当然それを実現するだけの作業工数が発生していてそれだけでは利益は全く出なかったりすることが多いです。

実際に儲かっているのはそのデザインを用いたWEBサイトの制作であったり、パンフレットの印刷であったり、デザインを元に展開する様々なアプリケーションであることが大半です。

 

例えばコンサルティング会社があったとしましょう。質の高いコンサルティングを売りにして人気の企業です。流石に利益の源泉はコンサルティングだと思いますよね?

違ったりすることが多いのです。無論コンサルティング単価は高額ですしそれが全ての起点ではあるのですが、実際に儲かっているのは他社の3倍のスピードで効率的に作られるレポート業務だったりすることがあります。

 

このように、企業には見た目ではなかなかわからない利益創出のポイントがあります。もし求職活動をしているなら、企業に対して御社の利益創出のポイントはどこにあるのでしょうか(つまりどこで儲かっているのか)と聞いてみても良いかも知れません。

この質問を理解できない人事担当者であればその企業はあまり採用に力を入れていないか企業自体が残念な状態かも知れませんし、生き生きと自社の秘密を語れる担当であればその企業はきっと良い会社だと思います。

実際どこで儲かっているかがわかったとしても、他社がそれを真似することは困難です。大抵の場合その会社だからそこで利益を出せる構造にできたというケースが多いためです。

 

以上何かの参考になれば幸いです。

 

中国人社員マネジメントについて2

前回は雇用する社員の生活環境をまず知る必要がある事を書きました。

 

次は自社ビジネスに対する理解です。ビジネスオーナーであるならば当然自社事業については誰よりも深く理解しているとは思いますが、ここでいう理解とはビジネスの細かな内容では無く、雇用すべき社員の属性を導くための理解となります。

例えば自社商材を売るための営業を採用したい状況としましょう。

その場合以下がポイントになると考えられます。

 

・その製品またはサービスは革新的なものかコモディティ化した差別化の難しいもので あるかどうか。

・一回の取引における利益率は高いか低いか。

ストックビジネスか売り切り型の商材かどうか。

・労働集約型ビジネスかその逆か。

 

最低上記条件で分類してみれば、営業に必要な属性が見えてくると思います。

革新的な商材であれば営業は質より量となり、差別化が難しい商材であればコンサルティング営業などが必要になります。

一回の取引における利益率により、営業にどの程度のインセンティブを提供することができるかが決まります。

ストックビジネスであれば損益分岐まで伸ばすために初期に強力な(高額な)営業が必要で損益分岐後は安定的なサポート寄りの営業の方が良いかも知れません。

ベンチャーに多い労働集約型モデルの場合、売れば売るほど内部稼働が高まりますので売ることよりも内部組織をまず充実させる必要があるかも知れません。

 

非常にざっくりとした話を書いてしまいましたが、このような求められる適性において上海人をどのタイミング、どのポジションで採用するべきかということが見えてくるのです。

例えば不動産業のような利益率が高く、売り切り型ビジネスの場合殆どの末端営業は上海以外の外地人です。出稼ぎ労働者にとっては高いインセンティブが就職の基本であり定着率も非常に低い傾向があります。コンサルティング営業のような経験がものを言う営業にする場合はその仕事を本当に長く続けることができるのかをよくよく確認しなければなりません。

 

尚、日本人採用の場合も同じかも知れませんが面接時に応募者が本当の希望を言うことはあまりありません。応募者側も妥協して御社に入社している事も多いことを理解しましょう。

 

 

中国人社員マネジメントについて1

中国人に限らず、今後日本は多くの外国人と付き合っていく必要があります。

今日はよく言われる中国人部下のマネジメントについて書いてみます。

 

中国はあまりに広く、出身地によりその状況は大きく異なります。

まずは上海人についてです。

 

上海には多くの居住者が居り、その半分弱が外地からの流入者となります。

上海で会社経営をするのであればまずは上海人を知らなければなりません。

 

日系企業に就職する新卒上海人の初任給は大体手取り4,000元(現在の1元16.5円レートで66,000円程度)となります。日本語がかなり上手だったりすれば更に+1,000元くらいにはなるでしょう。

 

まだまだ日本に比べると低いと思えます。しかし彼らの資産はあなたより豊かかも知れません。

彼らの両親は、大抵の場合政府から供与された住宅を1戸以上持っており、うまく資産運用できた家庭では3戸以上持っている場合も珍しくありません。

そしてそのマンションの一部屋は一億円以上することも十分に有りえます。

 

つまり、あなたの手取り7万円の部下(一人っ子)は資産数億円を既に保有しているのに等しいわけです。

 

実際手取り4,000元で上海で生活するのは容易ではありません。ボロボロのマンションの一部屋でも都心部では月4,000元程度は必要です。

そのため家を持たない外地人は5人前後で2部屋あるマンションを借り、共同生活をして家賃負担を減らすのが一般的です。

 

実家と資産がある上海人にとって、必ずしも仕事で高い挑戦をして神経をすり減らす必要は無いのかも知れません。

そこは個人の考え方により大きく変わりますが、少なくとも外地から来ている人よりははるかに競争よりも安定を望む傾向が強いです。

そして上海では上海語が話せる上海人よる目に見えない各種ハードルが存在します。

 

これら最低限の情報は社員を雇用する前に知っておくべきことになります。

日本の報道を鵜呑みにし、中国人を下に見て偉そうに振る舞う経営者の多いこと。

 

偉そうな総経理よりも金持ちな社員は実はたくさん居ます。

別にだからと言って部下に必要以上に気を遣う必要があるということではありませんが、その振る舞いによってピエロに映らぬよう、個々の社員の生活環境を踏まえておくことは損にはなりません。

 

まずは中国人の状況を正しく理解し、地域ごとに全く異なるということを知ることがマネジメントの第一歩と私は思います。