上海に居ながら日本を考える

上海にやたら長く住む日本人が中国と日本を比較しながら様々なことに思いを馳せるよ

転職時に前職(現職)企業をけなしてはいけないという風潮について

日本人は転職回数をやたらにマイナス要素として気にしすぎるという意見を以前書いたのですが、同様に新しい企業との面接時に前職(現職)の仕事内容や会社自体をけなすことはご法度と面接指南で良く言われていることに対し強く疑問を感じています。

世の中の企業は、従業員から見て良い企業悪い企業様々です。良い会社だけど給料が低すぎる、頑張っていたけど評価が上司に横取りされる、とんでもなく意地悪な上司が居て仕事にならないなど、転職を考える理由はたくさんあります。

また管理職以上の階層での転職となると、経営者の考え方が今の時代に合っておらず、今後の成長が見込めない、上のポストが詰まってしまっていてこれ以上出世することは難しい、商品・サービスに最早競争力が無くそれを改善する体力が最早会社に残っていないなどこれもまた色々あるはずです。

しかし一度転職活動となれば、今の会社の悪口につながることは言ってはいけないと言われます。これが実に理不尽だと思うのです。

 

無論良いように新しい会社のサービスに強い魅力を感じている部分を伝えたり、どうにでもなる問題ではあります。

でも転職を決意する本質を伝えることができないというのは良くないと思うんですよね。

 

「私はこのプロジェクトに対してこのような取り組みを行い、ここまでの一定の成果は上げることができた。しかしそこから先に進むにはどうしても本社側開発部門の更なる努力が必要であり、交渉を重ねたが結局対応が難しくこれ以上プロジェクトの進展は難しいという結果となった。この仕事を通じて私のやりたい事が明確となり、それがより明確に実現できる御社で力を尽くしたいと考えている。」

 

という建前の転職動機があったとします。これを本音に置き換えると、、

 

「いやー俺頑張ったんですよ。プロジェクト予算も他社に比べると圧倒的に少ない中できることは多分全部やったと思ってます。でも最終的には製品コストであり、ここは最初に泣いてでもこのタイミングでシェアを取らないとこれ以上進める意味は無いんですよね。もう本社とは散々やり合いました。

でも問題の本質を何度伝えても理解できないみたいなんです。高額で雇われた責任者は短期利益しか追求していないんで長期的な視野は持てないし、社長は社長で会議では場当たり的な思いつきのコメントしか出さず、しかも次の会議では自分の言ったことを覚えていない状況なわけですよ。

この状況が打開できると信じて部下がついてきている状態で、俺ももうこれ以上頑張ることに何の意味があるのかなって思ってしまいましてね・・・。

その点御社の社長は創業者だから当然ビジネス上の嗅覚は優れているでしょうしやるべき対応をきちんと伝えれば考えてくれると思うんですよ。

俺も今の会社は長いんで散々努力し散々我慢もしてきました。でも、ここは転職リスクを負ってでも挑戦しないと自分の未来は拓けないだろうなってのが正直な気持ちです。」

 

となります。まあ実際この程度であれば大丈夫な会社はあります。

しかし堅い会社では無理でしょうね。

 

詰まるところ自分の会社に100%満足しているなら誰も転職はしないわけで、転職時にその不満な点を伝えないようにしましょうってのは転職者の意志をあいまいに見せてしまってお互い不幸なんじゃないのという話です。